『あなたは看護師が病院・クリニックで働くものだと思い込んでいませんか?』
看護師は一般企業(以下企業)で働くこともできます!
看護師の仕事は
- 激務
- 夜勤で生活リズムが崩れる
- 女性特有の人間関係に消耗する
- プライベート時間を確保しにくい
など大変な環境で働かないといけません。
【働き方改革】という世の流れに沿うように病院・クリニック以外で看護師として働きたいという人が増えています。
この記事では看護師が企業へ転職するに当たり失敗しないためのポイントや企業での働き方などを網羅的に解説しています。
こちらの記事を読んでいただくことで『看護師として企業に転職したけど後悔した』ということを防げます。
企業で働く看護師について理解・納得した上で転職という行動に移し、今より充実した日々を送りましょう!
企業で働く看護師とは?働き方・給料・待遇を解説!

看護師として働いているとなかなか企業で働くということがイメージできなくはないでしょうか?
ここでは企業で働く看護師の待遇・給料・働き方について解説します。
企業で働く看護師とはこんな仕事!
大企業になるほど医務室や健康管理をする部署が設置されています。
その会社の従業員に対して急病人のケガの処置や手当を行います。
他にも保健指導や健康相談にのったり健康診断を実施したりと、健康のサポートをするのが仕事です。
ちなみに企業で働く看護師を【企業看護師または産業看護師】と呼びます。
他にも製薬会社・医療機器メーカー・保険会社などからも需要があります。
その場合は、医療的なケアではなく医療の知識を持った一人の会社員として働きます。
ある企業看護師の一日の流れ
9:00 出勤
メールの確認・一日の予定を把握。
10:00 面談の設定
健康診断の結果をチェック。産業医との面談が必要と思われる方に連絡をとる。面談を希望している方がいないか確認する。
11:00 面談
産業医との面談に同席する。カルテも事前に準備して、スムーズに面談が進むようにサポートする。
12:00 休憩
13:00 デスクワーク
健康診断の結果や面談の結果を電子カルテへ入力。
誰が見ても分かり易いようにデータや表現を工夫する。
15:00 資料作成
他部署主催の健康に関わる研修の資料を作成する。
16:00 カンファレンス
健康診断で問題があった方へのフォローをどのようにしていくか産業医と話し合う。
17:00 退勤
年収相場
企業看護師の場合
平均年収400万円~500万円です。
この金額だと少ないと感じるかもしれませんね。
ただし企業看護師の場合、夜勤なし・土日出勤なし・残業基本なしです。
働き方としては魅力的ですね。
治験関連の企業に勤める場合
平均年収400万円から800万円で金額に開きがあるのが特徴です。
個人の能力によって収入がかなり変わってくる職種であると言えます。
看護師としての知識に加え社会人としての能力が求められる部分です。
福利厚生
基本的には勤める会社の福利厚生に準ずるため一概になんとも言えません。
ただし大企業になるほど優遇されているというのは間違いないと言えます。
企業で働く看護師に向いている人の特徴3選!

病院で働くことが向いている人もいるように企業で働くことが向いている人もいます。
どんな人が企業で働くことに向いているのか?解説いたします。
1.医療以外の仕事に関心がある方
医療の仕事だけだと視野が狭くなってきます。
違う業界を経験することで医療を別の角度から見ることができます。
2.夜勤無しの仕事が良い方
夜勤が苦手と感じている看護師は多いです。
企業に転職すると夜勤はありません。
夜勤がないことでプライベートが充実し生活リズムが安定するというメリットがあります。
看護師の資格を活かしつつ長く働くには企業で働くというのは選択肢の一つです。
3.看護師の資格・経験を活かしたい方
看護師の資格を取るのは大変であるため、せっかく転職するならば看護師の資格は活かすべきです。
給料の面から考えても看護師の資格を活かせる企業で働く方が賢明な選択といえます。
看護師が企業に転職するメリット5選!

看護師が企業に転職する際にどんなメリットがあるのか?しっかり把握した上で転職を検討しましょう。
1.夜勤が無く残業が少ない
企業で働く看護師は夜勤がありません。
残業も基本なし、もしくは少ないです。
看護師は夜勤があるから辛い!と考えている人は企業に転職することを検討しましょう。
心身に負担が少ない
夜勤がないということは体に負担が少ないです。
体に負担が少ないと心も安定し生活リズムが乱れにくいです。
生活リズムが安定するということは長く仕事を継続するということにも繋がります
プライベートを大切にできる
看護師は激務です。
仕事にのめり込むことは幸せなことでもありますが、プライベートを犠牲にしがちです。
『仕事だけではなくプライベートも大切にしたい!』
そう考える方は企業に転職をオススメします。
2.医療ミスが無くなる
看護師をしていると医療ミスのリスクはつきまといます。
注射・内服・点滴などをする機会が0もしくは激減するため、病棟の看護師ほどのリスクを背負わなくても済みます。
3.PCスキルやビジネスマナーが身に付く
企業に転職する場合基本的な PC スキルは必要です。
Word Excel PowerPoint基本的なソフトは使えるようにならないといけません。
企業で働くとなると相手は治療を目的としている人ばかりではありません。
社会人として基本的な礼儀・礼節・マナーが必要です。
仕事に順応することで自然とスキルが身に付きます。
4.視野が広がる
企業看護師だと企業が求める医療を経験することができます。
製薬会社・医療機器メーカーなどで病院に薬や医療機器が導入されるまでに、どんな思いや苦労があるのか身をもって体験することもできます。
看護師として見識を広げるために、あえて一度企業に転職するというのもありです。
5.看護師の人間関係から解放される
人間関係に悩み辞めていく看護師は多いです。
【医療】という間違いが許されない現場に身を置いているため仕方がないですが大きなストレスを抱えることもあります
企業に転職した方が人間関係を構築しやすいという人もいるでしょう。
看護師が企業に転職するデメリット6選!

企業に転職するということはメリットだけではなくデメリットも存在します。
メリットとデメリットを天秤にかけ、自分にとってメリットが上回るようなら転職を考えましょう。
1.看護師が少ないため相談相手が少ない
病院・クリニックに比べると看護師の資格を持っている人は少ないです。
看護師の資格を持っているのは自分だけということもあり得ます。
仕事で落ち込んだ時などこれまでは看護師の資格を持った同僚に相談し助けてもらったこともあるかもしれません。
企業に転職して相手が看護師の資格を持っていなければ、本当の意味で理解しあうのは難しいでしょう。
2.一人で判断をしなければいけないこともある
看護師が少ないため自分で判断することが増えます。
一人で判断することが苦手な方は企業への転職を慎重に考えた方が良いでしょう。
3.医療に関する知識・経験は止まる
臨床から離れるということは一旦、医療に関する知識・経験の更新が止まるということです。
視野を広げるという目的で企業に転職する場合は長い目で見ると貴重な知識・経験ですが、常に最新の医療を知りたいという方は臨床に勝るものはありません。
4.学ぶ姿勢が必要
看護師としての経験は活かせますが+α学ばないといけないことがたくさんあります。
年下の先輩や上司が転職した企業にいたとしても謙虚に学ぶ姿勢を持つことが必要です。
5.収入が上がるとは言い切れない
収入を上げることが一番の目的の人には企業への転職はオススメしません。
企業への転職は収入アップではなく働き方を変えるということがメインです。
収入を上げるのが目的なら看護で認定の資格を取ったり昇進できるように努力したりすることをオススメします。
6.求められるスキルが変わってくる
企業に転職すると一社会人としてのスキルも求められます。
企業に転職すると相手にするのはクライアントやお客様になり、治療を目的としている人ではないということです。
言葉遣いやビジネスマナーなどこれまで以上に高いものが求められることもあります。
企業で働く看護師の代表的な職種を9つ紹介!

看護師が企業で働くにあたって代表的な職種を紹介します。
新たに資格を取得しなければできない仕事もありますが看護師経験を活かすことができる仕事ばかりです。
1.フィールドナース
医療機器メーカーに属し営業をする仕事です。
医者や看護師を相手にプレゼンテーションをしたり実際に機器を使ってデモンストレーションをしたりします。
購入していただいた後のアフターフォローも担当するため、まさにセールスマンです。
2.治験コーディネーター(CRC)
製薬会社が新薬を作り人体への安全性と有効性を確定させるためのサポートをするお仕事です。
基本的には治験施設支援機関に雇用され医療機関に出向いて仕事をするという流れです。
医療機関の治験を担当する医師のもとで事務作業・職員間の調整・被験者のサポートに携わります。
3.臨床開発モニター(CRA)
治験コーディネーターと同じく治験に関わるお仕事です。
一番の違いは製薬会社に雇用されることです。
製薬会社と医療機関の間に入り正しく治験が行われているかをモニタリングします。
具体的には医師へのヒアリングや治験の進捗状況の管理、医療機関から回収した症例報告書のチェック回収です
4.品質管理者(QC)
医薬品または医療機器の品質管理をする仕事です。
医療機関の倉庫などが就業場所となり、これまで患者を相手にしてきた看護師の仕事とは大きく変わります。
5.イベントナース・ツアーナース
野外コンサートやフェスティバルなどが行われる際、看護師の常駐が条件となることがあります。
ただ単発の仕事がメインであるため継続した収入を得ることは難しいです。
6.保育園で働く看護師
法律で保育園に看護師を配置することを促進しています。
保育園で子供の発熱や怪我などに対して速やかに対応できるため看護師の求人が増えています。
子どもが好きという看護師には最適な職場となるでしょう。
7.美容クリニックの看護師
給料が高く夜勤もないため人気の仕事です。
福利厚生の一環で美容器具や脱毛器具を無料もしくは割引で使えることがあります。
働きつつ自分自身を磨くことができるのはメリットですね。
8.ケアマネージャ
看護師からケアマネージャになる方も多くいて、資格と実務経験があればケアマネージャを受けることができます。
資格取得後、高齢者施設などでケアマネとして勤めます。
コミュニケーション能力やマネジメント能力が求められる仕事です。
9.助産師
看護師からのステップアップで助産師の資格を取る方もいます。
もちろん資格を取るためには時間と労力がかかるため覚悟が必要です。
将来的に独立して助産院を開業することもできるため独立したいという気持ちがある人にはオススメです。
看護師の経験から向いている職種(看護資格は不要)を2つ紹介!

看護師の資格は不要ですが看護師としての資格・経験を活かせる仕事を紹介します。
1.医療系求人のコンサルタント
医療系転職エージェントの中の人という働き方もできます。
看護師として働いてきた経験があるため求職者の悩みを深く理解し共感することができます。
2.心理カウンセラー
企業で働いていて心を病む方はたくさんいます。
そういった方に心理的なサポートをするのが心理カウンセラーです。
傾聴するのが得意な看護師には向いている仕事といえます。
実際に働く場合は臨床心理士や産業カウンセラーなどの資格を取得してから働くことをお勧めします。
看護師として企業に転職する際のポイント3選!

企業に転職する際に押さえておきたいポイントを3つ解説します。
しっかりポイントを守って失敗のない転職をしましょう。
1.企業への転職理由をはっきりさせておく
一般的に看護師は病院・クリニックで働きます。
なぜ企業へ転職するのか?その理由は面接で必ず聞かれるところです。
ネガティブな意見ではなく、どこにやりがいを感じたのか伝えられるようにしておきましょう。
2.譲れないこだわりを決める
転職活動をする時に【これだけは譲れない!】ことは事前に決めておきましょう。
給料・残業・休日・福利厚生など譲れないこだわりを決めることで求人を絞ることができます。
3.パソコン操作に慣れておく
看護師として働くときも電子カルテの入力などでパソコンを使うことはあったでしょう。
タイピングは前提として、できれば Word Excel PowerPointなどの基本的なソフトを使えるようになっていれば自分を助けることになるでしょう。
看護師として企業に転職を決意した後にやること一覧!

企業に転職する!
そう決意したら無駄のない行動をしましょう。
そのためには計画的に行動することをオススメします。
逆算してスケジュールを立てる
最初に〇月〇日までに転職する!という目標を立てましょう。
そこに対してやるべきことをリストアップしていきます。
目に見える形でメモを残しましょう。
やるべきことを視覚化することでモチベーションが上がります。
複数求人登録する
今の時代求人の媒体はたくさんあります。
選択肢を広げるためにも様々な媒体に登録し積極的に情報収集をしましょう。
ナースセンター
全ての都道府県にナースセンターがあって、ネットを使い無料で求人を探すことができます。
ハローワーク
言わずと知れた公共職業安定所です。
とりあえず登録だけはしておきましょう。
ハローワークのアプリもあります。
転職サイト
スマホやパソコンから簡単に企業への転職情報を探すことができます。
求人条件を登録しておいて条件を満たす求人があればメールで送られるように設定しておきましょう。
転職エージェント
効率よく企業への転職をするのであれば転職エージェントをオススメします。
終始無料で利用できる上に専任のコンサルタントが付いて悩みや希望に沿って適切な求人を紹介してくれます。
履歴書・職務経歴書・面接のサポートなどもあり、一人で転職活動を行うよりも効率が良いのは間違いありません。
就業規則を確認する
転職をすると決意をしたら就業規則も確認しておきましょう。
『就業規則に抵触するため辞められなかった・・・』となると、転職の機会を逃してしまう可能性があります。
一般的には1~3ヶ月前に辞めることを伝えますが、病院・クリニックによっては半年前というところもあります。
法的な効力がないにしても、慣例から伝えて半年経過しないと辞められないという職場もあったりします。
いつ伝えれば辞められるのか確認しておきましょう。
有給は全部消化しよう
有給休暇が残っていたらすべて消化するのを前提に退職時期を決めましょう。
次の職場が決まっていなければ有給休暇でお金をもらいながら次の職場探しができます。
有給を使い辞めることは全く悪いことではありません。
去り際が重要!良い印象で終える!
立つ鳥跡を濁さずという、ことわざがありますし、もしかしたら今の職場でまた働くことがあるかもしれません。
お互いに気持ちよく終われるよう辞めるとしても最後まで気を抜かずに過ごしましょう。
特に引継ぎはしっかりと行ってください。
悪質なら退職代行という方法も検討する
基本的には円満な退社をオススメします。
ただし中には
- 辞める人間に有給をあげない
- 辞めると伝えるのに受理しようとしない
そういったやり方をする事業所も実在します。
いくら誠意を見せても取り合おうとしない場合は退職代行というサービスを利用することも検討しましょう。
2万円~5万円のお金はかかりますが要望に沿った退職を実現してくれます。
なぜ病院・クリニックではないのか?看護師が企業に転職する理由5選!

転職を考えるのであればまずは他の病院・クリニックを探すというのが一般的のように感じます。
でも中には『病院・クリニックはもう嫌だ』と感じる人もいます。
なぜ病院クリニックで働くのが嫌なのか?看護師が企業に転職したいと思う理由を5つ解説します。
1.人間関係
扱っているものは患者様の命です。
一つのミスが重大な事故になりかねない仕事であるため、どうしても求められるものが高く厳しいです。
医師や家族の間に挟まれることもありますし難しい人間関係の中でストレスを抱える人が多いのが現実です。
2.心身がもたない
大きな病院になるほど夜勤・残業・人間関係・社内研修など、やることが無限にあります。
『一時的に忙しいなら頑張れるけど、ずっと続くと考えると看護師は無理!』そう考える人もいます。
3.収入が低いから
規模によって収入にはかなり幅がありますが、小さなクリニックでは月収が手取り20万円ということも多いです。
仕事の内容に対して割が合わないと感じる人も多く転職を考える人はいます。
4.労働時間が長い
看護師も介護士と同じく人手不足が深刻な業界です。
人がいないと、どうしても残業をすることになり労働時間が長くなりがちです。
労働時間の長さというものは辞めたいと思わせる要因となりえます。
5.仕事内容に不満がある
看護師として同じように働いていても先輩や上司と合う・合わないで扱いが違うことがあります。
医師によっては看護師を何でも頼めるお手伝いさんのように接してくる人もいたりします。
『こんなはずじゃなかった!』と思うこともあります。
別の病院・クリニックで働くことも選択肢に入れよう!

企業に転職するのも一つの選択肢です。
ただ別の病院・クリニックで働いたことがない人は企業に転職するしかないと決めつけるのは時期尚早です。
例えば【年収・残業・夜勤】これらは別の病院・クリニックに転職することで解決できる場合もあります。
形態を変えて病院・クリニックで働く
大きな病院だと給料は良いがその分勤務がきついというのはよくある話しです。
逆に規模が小さくなるほど給料は安くなるけど働きやすさは上がるということもあります。
受け入れできるベッド数や診療科の数に比例するところがあるため一度転職を検討してみると良いでしょう。
自分自身を見つめ直すこと
自分に合った転職先を見つけるために本当に自分が求めているものは何なのか考えてみましょう。
- お金
- やりがい
- 自由
- 安定
自分が一番大事なものは何なのか?
もしかしたら、1つではなくバランス重視なのかもしれません。
病院・クリニック・企業。
よく考えて失敗のない転職をしましょう。
ステップアップなら企業への転職もオススメ!
要するに前向きな転職ですね。
『今の看護師としての環境に不満はない。ただもっと視野を広げステップアップするために企業に転職したい』
そういった方は企業への転職をぜひオススメします。
活躍できるでしょう。
まとめ
看護師から企業に転職することはできます。
しっかりメリット・デメリット・向いているかどうかを確認してから転職を考えてください。
自分自身の心の声を大事にして後悔のない転職をしましょう。
どんな選択をしても看護師という価値ある資格を取得して社会に貢献されている皆さんは本当に素晴らしい仕事をされています。
看護師に誇りを持ち、前向きに輝き続ける職場に出会えることを祈っております。